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会津さざえ堂は、1796年福島県会津若松市の飯盛山に建立された、高さ16.5メートル、六角三層のお堂です。正式名称は「円通三匝堂」(えんつうさんそうどう)といいます。当時飯盛山には正宗寺(しょうそうじ)というお寺があり、その住職であった僧郁堂(いくどう)の考案した建物です。
その独特な2重らせんのスロープに沿って西国三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで三十三観音参りができるという大変合理的なお堂です。また、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造により、たくさんの参拝者がすれ違うこと無く安全にお参りができるという世界にも珍しい建築様式を採用したことで、建築史上その特異な存在が認められ、平成8年に国重要文化財に指定されました。
さざえ堂に入りますと、上りに一回転半、下りにまた一回転半、合計三回転することになりますが、三匝堂の「匝」は「めぐる(匝る)」という意味があり、三回めぐりながら観音様をお参りすることになります。
当時、会津より西日本方面に出かけて各地の札所をお参りするということは一般民衆には夢のような話でした。会津地方にも三十三観音札所が点在しますが、さらにコンパクトに一ケ所のお堂に集約したのです。
1780年代より、当時の民衆の観音信仰を背景に、江戸の羅漢寺をはじめ、関東を中心として全国各地にさざえ堂と呼ばれる建物が建てられました。やはりどちらのさざえ堂も観音像を安置し、一度にお参りするためのお堂です。有名なところでは群馬県太田市や埼玉県本庄市に現存しますが、会津さざえ堂の構造とは異なり、平面は方形で、中二階を用いた三階建てになっています。
明治になり、正宗寺は廃寺され、神道を信仰しため神仏分離令によって 三十三観音像は取り外されました。 明治23年には堂内の観音像があった場所に白虎隊十九士の霊像が安置されましたが、のちに会津藩の道徳の教科書であった、第八代藩主松平容敬(かたたか)公の編纂された「皇朝二十四孝」の絵額が掲げられ、現在に至っています。
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